区画整理とは
土地区画整理事業とは
土地区画整理事業(とちくかくせいりじぎょう)は、土地区画整理法(昭和29年法律第119号)という法律に基づいて行われる開発手法の一つです。
土地区画整理法では、土地区画整理事業は、「都市計画区域内の土地について公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るために行われる、土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業」と定義されております。
簡単にいうと、「道路や公園の整備改善や地区内の土地の価値を高めるために、道路や公園などを新しく作ったり改修したりして、あわせて土地の形状も良くしよう」という事業です。
この事業は、大きく分けて「地方公共団体」が行う場合と、「土地区画整理組合」が行う場合があります。(その他の者が行う場合があります。詳しくは「用語解説」の「施行者」をご覧ください。)
「地方公共団体」が行う場合は、事業の必要性があると判断したその首長がおこなう土地区画整理事業になります。主に市街地や交通網の接点(駅やインターチェンジ)付近で行われることが多いようです。
「土地区画整理組合」が行う場合は、その地区の地権者等が集まって土地区画整理組合を設立して行う土地区画整理事業になります。
いづれの施行者が行う場合においても、施行地区の中にある土地は、何かしらの影響や関わりが生じることになります。
減歩及び区画整理の概略図
土地区画整理事業は、地区内の土地をお持ち方から少しずつ土地を提供してもらうことで行われる事業です。(そのため、基本的には金銭的な負担はありません。)
この土地を提供することを「減歩(げんぶ)」といいます。減歩と区画整理の概要を図にして説明します。
区画整理の利点1 -道路事業に比べて残地の有効利用ができます-
区画整理の利点2 -部分的開発によるスプロール化を防ぐことができます-
区画整理の流れ(組合施行の場合)
土地区画整理組合設立準備委員会の立ち上げ関係する地権者数名で組合設立のための組織を立ち上げます。
区画整理を予定している区域内の土地・建物の登記内容を閲覧して地番や所有者を調査します。また、公図などをもとに土地の所在図(区域図)を作成します。
測量を行い、現地の土地や建物の状況を図化します。また、関係地権者と現地で立会いを行い、事業を行う区域の境界を確定します。
道路をどのように配置するのか、どのぐらい盛土を行うのか、どのような公園をつくるのか、排水をどうやって処理するのかなど、作りたい街の案を作成します。
道路や公園などの整備方針、地権者の負担、事業を実施するために必要な費用などを取りまとめた「事業計画書」と、組合の目的、組織、活動方針をまとめた「定款」を作成します。
作成した事業計画書と定款をもとに事業を行うことに対して、土地の所有者や借地権を有する者から同意を取りまとめます。組合施行の土地区画整理事業の認可を得るためには、土地所有者及び借地権者からそれぞれ人数、面積の2/3以上の同意が必要となります。
事業計画書や定款が定まったら、地権者や借地権者が7名以上共同して、都道府県知事に対して土地区画整理組合の認可申請を行います。
この認可申請があった場合、都道府県知事は管轄する市町村長に事業計画書を2週間縦覧させなければなりません。事業の利害関係者は、縦覧期間満了の翌日から2週間以内に、都道府県知事に意見書を提出することができます。
※関係する自治体の権限移譲の状況により上記「都道府県知事」が「市町村長」に置き換わる場合があります。(以下も同様です)
都道府県知事は、事業計画書や定款に問題がなく、縦覧の結果、問題となる意見書の提出がなかった場合には、組合設立の認可が下りることになります。
組合設立の認可があった場合は、設立総会を開催することにより正式に組合が設立します。設立総会では、役員の選挙、諸規程の決定、初年度予算の決定などを決めます。なお、組合設立総会はその認可の公告の日から1ヶ月以内に開催しなければなりません。
地区内の土地の評価を行い、誰をどこに換地するかを決めていきます。あわせて保留地の場所も決めていきます。
換地案を関係地権者に説明して同意を得ることは、必ず行わなければならないことではありませんが、今後の組合運営を円滑に進めるために、換地案をあらかじめ関係者に説明して理解を求めることが必要です。
仮換地が指定されると、もともとの土地にあった権利が新しく換地となった場所に移行し、もともとの土地を使用することができなくなります。ただし、換地先もまだ工事が行われていないので使用することができないので、換地を使用することができる日を別の日に定めることが多いです。
道路や公園を造るために支障となっている建物や工作物がある場合は、組合がその所有者に移転が必要な旨の通知を行い、所有者がその支障物の移転や除却を行います。この場合、移転や除却に必要な費用については、一定の基準をもとに算出された補償額が、組合から所有者に支払われることになります。
事業によって築造される、道路、公園、排水施設、ライフライン(上水道、ガス)、下水道、整地などの設計を行います。
設計された内容をもとに工事を行います。面積が大きな地区では、いくつかの工区に分けて、何年かにわたり工事が行われます。
工事が完了した箇所から保留地の販売を行います。
地区内の工事が完了したら、現地の測量を行い、道路や公園の形状を実測します。
出来形確認測量の実測値に基づき、換地設計(仮換地)の内容の調整を行い、換地処分を行うための案(換地計画)を作成します。
換地計画を定めるためには、総会の議決が必要となり、総会の議決後は、換地計画案が2週間縦覧されることになり、関係者は意見書を提出することができます。
都道府県知事に対して換地計画の認可申請を行います。都道府県知事により認可されると、換地計画の内容を関係者に通知(換地処分)することになります。関係者全員に通知が完了したら、都道府県知事が換地処分の公告を行い、公告の翌日から換地の効力が発生します。
土地区画整理事業では、地区内の土地について、新しい町名や地番を付することができます。新しい町名や地番は、換地処分の公告の翌日から効力が発生することになります。
換地処分の内容に沿って地区内の土地の登記の書き換えが行われます。また、ここで初めて保留地が登記所に登記されます。その後、組合から保留地購入者への所有権移転登記が行われます。
換地を交付した場合や不交付とした場合、また、工事施工により仮換地の面積から換地面積が増減した場合などには、清算金を徴収したり交付したりして、地権者間の不均衡を是正します。
事業計画で定めた事業がすべて完了した場合には、都道府県知事に組合解散の認可申請を行い、組合を解散します。 組合は解散によって法人格を失うことになるため、清算総会を開催して事業が清算されるまでの間の組織である清算法人に移行します。清算法人になってからある一定の期間が経過すると清算事務が完了することになり、これにより事業がすべて完了します。