換地のしくみ
土地区画整理事業における換地設計の方法
整理前の宅地に対して、換地の位置、形状、面積などを計算して、それぞれの換地を定めていくことを換地設計といいますが、その換地設計を行う手法は大きく分けて3つの方法があります。
・比例評価式換地設計法
・地積式換地設計法
・折衷式換地設計法
上記3つの方法のうち、「比例評価式換地設計法」により換地設計が行われることが一般的です。
比例評価式換地設計法によって換地設計を行う場合には、それぞれの土地を評価する必要がありますが、土地の評価方法は、固定資産税や相続税の評価でも行われる「路線価式評価法」によって行われます。
路線価式評価法による土地評価の流れ
路線価式評価法は、道路に付けられた路線価を基に、その土地の大きさ、奥行き、土地の形状などによる修正を勘案して土地を評価する方法です。
1.路線価の決定整理前、整理後の路線価を算出
2.画地の評価道路との位置関係、画地の形状、利用状況などにより個別に評価
3.画地評価額の決定
路線価の算出方法
路線価は、街路係数と接近係数と宅地係数によって算出されます。
路線価=街路係数+接近係数+宅地係数
・街路係数
(幅員、歩道・舗装の有無など)
街路係数=t・F(W)+ΣX
・接近係数
(公園、商業施設への距離関係など)
接近係数=Σm・F(s)
・宅地係数
(上水道整備、下水道整備、ガス整備の有無など)
宅地係数=u・F(P・Q)+ΣY
実際に計算すると、例えば
路線価 = 2.193 + 0.191 + 3.924 = 6.308
といったような数値になるため、整理前の路線価の最大値を1000と置き換えて比較計算を行います。
画地の評価の流れ
画地評価の基本
土地の面積は450m2
修正する要素は無し
1,000×450=450,000 となります。
画地を評価する際に修正する要素として
・奥行きが長すぎないか(奥行長大)
・形状が三角ではないか(三角地)
・形状が袋地ではないか(袋地)
・道路に面していない土地か(島地) などがあります。
修正する要素がある場合は、
2.次に、m2当りの指数に面積を乗じて総指数を算出します。
計算例1(普通地の場合)
画地は1つの路線に面する普通地
面する道路の路線価は1000
画地の面積は450m2
奥行きによる逓減(0.977)
その他の修正要素は無し
1.m2当り指数の算出
=1,000×0.977×1.00
=977(=m2当りの指数)
2.総指数の算出
=450×977
=439,650(=上記画地の総指数)
計算例2(角地の場合)
画地は2つの路線に面する角地
正面に面する道路の路線価は1000
側方に面する道路の路線価は700
画地の面積は600m2
奥行き、その他の修正要素は無し
1.画地指数の算出
=600.00×1,000×1.00×1.00
=600,000(=画地指数)
2.側方加算指数の算出
=700×20×0.50
=7,000(=側方加算指数)
3.m2当り指数の算出
=(600,000+7,000)/600.00
=1,012(=m2当りの指数)
4.総指数の算出
=600.00×1,012
=607,200(=上記画地の総指数)
換地面積の算出方法
1.画地の総指数、権利指数の算出
なお、地区の比例率は1.10とする。
m2当り指数の算出
=正面路線価指数×奥行きによる逓減率×その他の修正率
=500×0.95×1.00
=475(=m2当りの指数)
総指数の算出
=画地の面積×m2当りの指数
=1,000.00×475
=475,000(=画地の総指数)
権利指数
=画地の総指数×比例率
=475,000×1.10
=522,500(=この画地の権利指数)
整理後の宅地(保留地を除く)の総指数の合計から整理前の宅地の総指数の合計を割って算出します。
土地区画整理事業を行うことによって、土地の資産価値がどれだけ上昇するかを表した率となります。
2.換地面積の計算
換地面積
=権利指数/換地先のm2当り指数
=522,500/950
=550.00m2
減歩率
=1-(整理後面積/整理前面積)
=1-(550.00/1,000.00)
=0.450
この土地の換地面積は、550.00m2
減歩率は、45.0%となります。